あなたはGoogleアナリティクスやサーチコンソールなどの解析ツールを、なんとなく眺めていませんか?または明確な目標値を定めずにWEBサイトを運営してはいませんか?
近年、デジタルマーケティングはWEBを仕事で使う人であれば必須と言える知識となりました。
本稿ではそんなデジタルマーケティングについて、基礎的なことから詳しく解説します。読み終える頃には本質的な部分は頭に入っているでしょう。
1.マーケティングとは何か
まずは、そもそもマーケティングとは何かを頭に入れておかねばなりません。マーケティングとは「市場において目標を達成するための手段や仕組みづくり」のことです。
マーケティングという言葉はかなり広義で使われているので、人によって解釈は異なるでしょうが、基本的には売り上げを伸ばすための施策だと考えて頂いて問題ありません。
お客様に商品を買っていただくための施策
市場ニーズをどう満たすか
などは全てマーケティングです。
1-1.デジタルマーケティングとWEBマーケティング
マーケティングの定義を確認することで、この2つの意味が見えてきました。デジタルマーケティングはその名の通り、「デジタルを用いて市場における目標を達成するための手段・仕組みづくり」のことです。
皆さんはデジタルと聞いて何を連想するでしょうか?様々ありますが、スマートフォン・タブレットなどのデジタルデバイス、ホームページやECサイト、SNSなどのデジタルメディアが主でしょう。
それらを用いて、どうお客様に商品を買っていただくかを考えるのがデジタルマーケティングです。
一方WEBマーケティングもその名の通り「WEBを用いて市場における目標を達成するための手段・仕組みづくり」です。
もうお気付きの方もいらっしゃるでしょうが、WEBマーケティングはデジタルマーケティングの中に含まれています。図で見ると以下のようになります。
ですのでこの2つにはそれほど大きな違いがなく、いずれにせよマーケティングを行う上での目標は変わりません。
1-2.デジタルマーケティングの必要性
Googleという、超巨大な社会インフラの影響でデジタルマーケティングは必須なものとなりました。
数年前から、お客様はGoogle検索を通じて、全ての情報にリーチできます。
例えば家電や服飾品など、欲しい製品の情報についてGoogleで検索してから購入をするかどうかを決めた経験のある方がほとんどではないでしょうか?
本稿に辿り着いた経緯も、Google検索からという方は多いはずです。このように、お客様は気になることがあれば直ぐに検索して調べています。ここに向けたマーケティングは、行わなければ多大な機会損失に繋がります。
それだけでなく、SNSを使用しているお客様にも商品やサービスを売り込む機会は十二分にあります。そのため、データを利用してお客様の属性やニーズを分析することができるデジタルマーケティングが必要なのです。
1-3.デジタルマーケティングで用いられる主要な手法
・ホームページ運用
1-2でご説明した通り、多くのお客様は商品・サービスを購入する前に検索します。そこにホームページで上手くアプローチすることが大切です。
そのためには検索されるキーワードで上位表示されなければなりません。そのための手法である、SEOとリスティング広告についてご紹介します。
SEOとは検索エンジン最適化の略称で、Googleのアルゴリズムで検索順位を上げるために行う施策です。SEOはホームページなどWEBサイトを持つ人が必ず取り組まなければならない集客手段でしょう。それほどに集客への効果は計り知れません。
SEO対策は大きく分けて3つあります。サイト構造を、お客様とGoogleクローラが見やすくするための内部対策。良質なコンテンツ(情報)をブログなどの形で提供する外部対策。他サイトからの被リンクを獲得する被リンクです。費用はかかりませんが時間がかかります。
一方、リスティング広告とは検索エンジンの上位表示をお金で買う方法です。クリックされる度に費用がかかるため、本命であるホームページが作りこまれていないと無駄に広告費を垂れ流すことになってしまいます。しかし、お金をかけている分クリック数は確実に稼げます。
・メールマガジン
メルマガは、ECサイトとの相性が抜群な手法です。
メルマガに最も期待できることは、リピーターの獲得と言われており、一度商品・サービスを購入してくれたお客様に、再購入のきっかけを与える役割を担います。
例えるならば折り込みチラシのようなものですね。直接お客様とコミュニケーションが図れます。近年はメールではなく、SNSを代わりに使用するケースも多く見受けられます。
・SNSマーケティング
SNSから集客すると言われてもあまり実感の湧かない方もいらっしゃるでしょうが、既に多くの大企業が予算をかけてSNSを行っていることからも効果は明らかです。
直接売り上げを伸ばす目的ではなく、企業のイメージアップや公式ホームページへの導線など、メインの集客手段を補う形で使用する例も多いです。
2.デジタルマーケティングの用語
ここからは必ず知っておくべき用語について紹介していきます。これらを定義まで知っておくことで、デジタルマーケティングにおける数式の意味やイメージがすっと頭に入ってきます。
何より、分析や目標値を定める上では必須の知識です。それでは見ていきましょう。
2-1.PV
PVはページビュー(視聴)数の略称で、閲覧されたページの合計値です。簡単に説明すると、「WEBサイト内のページを何回見られたか」です。
新規のユーザーなのかリピーターなのか、同一の人が見たかは区別しない数字です。デジタルマーケティングにおいて最も基本的な指標となります。
2-2.セッション
ユーザーがサイトを訪れてから、ブラウザを閉じたりサイトを離れたりするまでを1セッションと数えます。
サイトを訪れて複数のページを巡回する場合も、1ページだけを見る場合も同じ1セッションです。ただし、1つのページに数時間とどまってから違うページに移動した場合は別のセッションとして数えられることもあります。
2-3.ユーザー数
1回以上のセッションを行ったユーザー数のことですが、「WEBサイトに何人集客できたかの指標」という認識で問題ありません。
UU(ユニークユーザー)といって、リピーターをカウントしないユーザー数も重要なので覚えておきましょう。
2-4.CTR
Click Through Rateの略称で、「どれだけの割合でクリックされたのか」という意味になります。
例えば「デジタルマーケティング」というキーワードで検索したユーザーの検索結果画面に100回表示されたWEBサイトがあるとします。
その中で3人がそのWEBサイトをクリックした場合、CTRは3%です。クリックしてもらえなければ、どれだけ素晴らしいサイトを作成していたとしても意味がありませんので、この数字はかなり重要です。
この場合、CTR=クリック数÷表示回数として計算します。
2-5.CVR
Conversion rateの略称で、成約につながった割合を表します。
WEBサイト全体の目的はお問い合わせや資料請求、お申し込みなど様々ですが、その目的を達成した割合です。
例えば「資料請求」が目的のWEBサイトがあったとして、1000人がサイトに訪れていたとします。
1000人のうち20人が資料請求を行っていたとすればCVRは2%です。
この場合はCVR=資料請求数÷訪問者数ですが、場合によって分子と分母は変わります。CVRはあくまで「成約につながった割合」という概念です。
2-6.CPA
Cost Per Acquisitionの略称で、1人のお客様の成約を頂くためにいくら費用がかかったのか、という指標です。
例えばリスティング広告とサイト運営に毎月3万円と人件費2万円、計5万円の予算をかけていたとします。
その施策により、50人のお客様を獲得したとすれば、CPAは1000円です。これまで紹介してきた用語とは異なり、費用対効果を数字で見ることができる値です。
2-7.KPI
Key Performance Indicatorの略称で、鍵となる業績評価指標のことを指します。簡単に言い換えるなら、「日々の業務活動の目安となる、わかりやすい数値」のことです。
例えば、毎月の売り上げが1000万、毎月のPVが20万のECサイトを考えます。
このECサイトの運営者は、売り上げを上げるための施策としてリスティング広告に大きく予算をかけてPVを2倍に増す施策を行いました。これがKPIをPV2倍に設定した場合です。
しかし、PVは2倍の40万になったにも関わらず、売り上げはほとんど変わらず1000万のままだとしたら、このECサイトの運営者はKPIの設定を失敗していると言えます。
そこで、次はKPIをCVR2倍と設定し、サイトの構造を1から整えてみたところ、今回は売り上げを2000万まで伸ばすことができました。これはKPI設定が上手くいった例です。
もちろんKPIは企業やサイトによって異なりますので、正解はありません。徹底した分析に基づいてしっかりしたKPIを定めてサイト運営を行うことが大切です。
3.Analyticsを使ったデータ活用について
2.デジタルマーケティングの用語で説明した指標は、Googleが提供しているAnalyticsやSearch Consoleで調べることができます。驚くべきことに、これらは無料で使用できます。
アナリティクスであればこのように、ユーザーがどういった経路でサイトに訪れているのかがわかります。
この画像の例であれば、「Google検索経由でサイトに来たユーザーの直帰率が高いため、回遊率を上げるように内部リンクを調整する必要がある」「SNS経由のユーザーはかなり直帰率が低いため、SNSからの集客により力を入れる必要がある」といったことがわかります。
サーチコンソールではCTRを直接確認することが出来ます。そのほかにも、どんなキーワードからの流入が多いかや、どういったキーワードで検索上位表示が出来ているのかの確認もできます。
もちろん、もっと踏み込んだ分析も可能です。Google Analyticsは使用方法や分析方法の本が多数出版されており、それほどに機能や分析方法が充実したツールです。
これらを使用することで、「お客様はどこから、どういった経路でサイトに流入しているのか」「どういう検索キーワードで検索したお客様は購買意欲が高いのか」といった情報を全て知ることができます。
こうしたツールで得られた情報を元に分析を行い、KPIを設定します。
4.資格について
デジタルマーケティングを体系的に学びたいという方には、資格を取得することをお勧めします。
もちろん、資格で学んだ内容を全て実務で使うことが出来るかといわれると、そうではないでしょう。
しかし、学問的な観点からデジタルマーケティングを学ぶことで基礎が身につきますので、その後の実務経験で応用していく糧となります。
また、資格にも色々な種類があります。学問的側面が強いものから、ほぼ実務レベルのものまで様々です。
本稿では、入門用の資格として「Googleデジタルワークショップ」の認定証取得コースと、Google Analytics Individual Qualificationをオススメしておきます。無料で受講することが出来るので、最初に受講する方に最適です。
興味のある方は「デジタルマーケティング 資格」で検索すると沢山のサイトがヒットしますので、そちらからご覧ください。
最後に
本稿では初歩的な内容をお伝えしましたが、今までなんとなくアナリティクスやサーチコンソールを見てきた人や、なんとなくサイトを運営してきた人にとってお役に立てれば幸いです。
分析ツールから得られた情報を分析しつつ、何をKPIとして設定すればよいのかをよく考えて施策を行う。そして結果を分析し、KPIを調整する。これの繰り返しで、今まで以上の結果を得ることが出来ます。